ジェネリックの薬とは?
ジェネリックの薬とは、最近ではテレビCMなどでも出てくることが多くなりましたので、名前くらいは聞いたことがあるという人も多いでしょう。
これは、先発品の薬の特許が切れた後に作られる薬、つまり後発品のことです。
ただ、これだけでは分かったようで、実際のところどういう仕組みなのか、先発品とは何がどう違い、何は変わらないのかがよく分からないでしょう。
そのあたりを詳しく説明しましょう。
まず、先発品つまり医薬品とはどのようにしてできるのかを知っているでしょうか。
基本的な流れを説明します。
まず、候補になりそうな物質、病気に効き目がありそうな物質を、様々な化学実験や研究により見出します。
化学合成により作り出したり、あるいは自然界にある植物などから抽出したりします。
この候補化合物を、本当に病気に効きそうかどうか、試験管内の実験によりふるいにかけます。
そうして、これは効き目があるのではないか、とある程度の目星がついたところで、次は動物実験が行われます。
ネズミ、ウザギ、イヌ、サルなどといった動物を用い、実際にその候補化合物を投与します。
本当に効き目があるか、副作用は許容できる範囲かどうかが調べられるわけです。
そして、動物実験もクリアした候補化合物は、晴れて製品になるかというともちろんそんなことはありません。
動物で効いても、ヒトで効くかは分からないからで、最後にはヒトで試してみるしかないからです。
つまり、ヒトを対象とした試験が行われます。
最初は健康な人に飲んでもらい、続いて実際に病気にかかっている人に飲んでもらいます。
もちろん、ここでも効き目はあるか、副作用は許容できる範囲かどうかが慎重に調べられます。
既に同じような効き目の薬がある病気であれば、それとの比較も行われます。
たとえ効くには効いたとしても、既存品よりも効き目が低いのであれば、わざわざそれを世の中に出す意味がないからです。
そうして、ヒトを対象にした試験も終了し、データがまとめられます。
そのデータは厚生労働省に提出され、審査が行われます。
会社が言う通りの効き目なのか、副作用は本当に大丈夫なのかなどが審査され、承認されて初めて薬になるのです。
このようにして先発品が完成します。
この過程は時間もお金もかかる、非常に大変な仕事です。
もちろん物によっても大きく異なりますが、だいたいのスケール感として10年程度の年月と数百億単位のお金がかかります。
ところが出来上がった製品は、その道の専門家であれば、内容物を分析し、化学的にそれと全く同じものを作ることはさほど難しくありません。
少なくとも、10年の年月や数百億単位のお金は必要としないのです。
ということで、せっかく苦労して製品化しても、誰かがそれを簡単にコピーするということになってはやっていられません。
そんなことは横行しては、誰も長い年月と多くのお金を掛けて製品を開発しようとはしなくなるでしょう。
それでは社会的に困りますから、先発品は、一定の期間は特許によって守られています。
この期間は場合によりけりなのですが、おおむね10年から15年程度です。
この期間は、特許を持つ会社以外は、勝手に同じものを作って売ってはいけないと決められているのです。
ところが、この特許期間が切れれば話は別です。
同じものを、誰が作って売っても構いません。
ということで、最初に特許を持っていた会社以外の会社が、同じものを作ることができるようになります。
これが後発品であり、ジェネリックと呼ばれる存在なのです。
ということで、ジェネリックの特徴としては、有効成分としては先発品と化学的に全く同じものです。
一方で、開発に長い年月も多くのお金も必要としていませんから、その分だけ安く作ることができます。
ジェネリック業界における合併統合と業界
最近ではジェネリック医薬品もかなり広く知られるようになってきました。
患者さんの中にも、自分のもらっている薬にジェネリックがあるのかどうか、もしあるなら替えてもらうと医療費はどうなるのか、気になって医師や看護師に相談したいと思っている人もいるかもしれません。
確かにいまジェネリック業界には追い風が吹いていると言えます。
というのも、国を挙げてジェネリック医薬品の使用を促進しようとしているからです。
これはどうしてかと言うと、ジェネリックは先発品と比べると大幅に薬価が安いからです。
患者さんが支払う薬代が安くなるのはもちろんなのですが、それだけならば、国が力を入れて推進する理由にはならないかもしれません。
実は、それだけではないからです。
知っているとは思いますが、日本では健康保険制度があります。
患者さん自身が窓口で支払う医療費は3割かそれ以下であり、残りは、患者さん自身が支払う保険料や企業が支払う保険料、そして国の財政から支出されるお金で賄われています。
国も費用を負担しているわけです。
そのため、ジェネリック医薬品の普及を促進することで国の財政規律の向上にも寄与することになるので、国はそれに力を入れているというわけです。
ところで、ジェネリック業界の動向はどのようになっているのでしょうか。
全体を俯瞰してみますと、まだまだ会社の規模としては大きくはありません。
やはり日本ではまだ新薬メーカー主体なのです。
これはある意味当然で、欧米ではジェネリックが既に発売されている医薬品の場合、ジェネリックのシェアは7割を超えます。
8割や9割になっている場合も珍しくありません。
つまり、ジェネリックが発売されれば、基本的にはジェネリックに置き換わると考えてもよいくらいです。
一方で、日本では普及してきたとはいえ、まだ3割程度です。
これらの数字は、数量を基準とした場合のシェアです。
金額を基準とすると、ジェネリックは新薬と比べて薬価が安いため、これよりもシェアは下がります。
欧米でも到底5割のシェアには届きません。
日本だと、1割程度のシェアにすぎません。
ごく大雑把にいうと、日本での医薬品市場は約10兆円規模です。
ジェネリック医薬品の市場は1兆円規模にすぎません。
つまり、まだまだ市場全体の規模が小さく、そのため個々の会社としても小規模です。
新薬メーカーでは、日本での売上高数千億円、世界も含めた全売上高では1兆円を超える国内企業もあります。
しかし、ジェネリックメーカーでは最大規模の会社でも売上高は1000億円規模です。
このレベルでは、仮に新薬メーカーであれば大手はもちろんのこと、中堅規模にも届きません。
さらに、ジェネリックメーカーと新薬メーカーとでは収益の構造が全くと言ってよいほど異なります。
同じ製薬会社とは思えないくらいに、ビジネスモデルは全く別物と考えてよいでしょう。
基本的に、ジェネリックを作るための工程は2つあります。
一つは、原薬を作ることです。
原薬とは、要は有効成分そのものということで、新薬の有効成分と化学的に同じものを作り、できるだけ不純物を含まないように、しかも安価に製造することが求められます。
もう一つは、製剤化です。
薬は原薬だけでできているわけではありません。
例えば普通の錠剤ならば、その中に含まれている有効成分つまり原薬は、重さにすると1%程度とか、それ以下ということもあります。
残りは賦形剤その他、錠剤という形にするために必要な成分です。
これらは適当に混ぜればよいわけでは決してありません。
その技術が保存上の安定性、服用したときの崩壊のしやすさ、味やにおいなどの飲みやすさに大きく影響するのです。
おそらく、今後は、この2つの工程をにらんだ業界再編、合併が日本でも増加すると予想されます。
ジェネリックをおすすめされたら
ジェネリック医薬品は価格を抑えて処方してもらえる
調剤薬局を初めて利用する際、ジェネリックを希望するかどうかを聞かれたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
ジェネリックとは、新薬と同じ成分で作られ、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づいて、厳しい基準や規制に対して承認されているもののことを言います。
価格を抑えて処方してもらえる為、患者にとっては費用が抑えられるというメリットがあります。
ジェネリック医薬品はどのくらい安くなる?
例えば、糖尿病の患者さんの場合、年間8760円も費用を安くすることができます。
認知症や高血圧症、ガンなどの治療にかかる費用もかなり抑えることができるのです。
特に、毎日服用しなくてはいけない患者さんにとって、費用が抑えられるという現状はメリットしかありません。
すべての物に対応しているわけではありませんが、自分が服用している物が対象なのかどうか確認してみましょう。
ジェネリック医薬品は安全に服用することが可能
また、品質的な問題に対しても、安全性が十分に確保されていることを踏まえて、患者に提供されるシステムですので、安全に服用することが可能です。
副作用に対しても、同じと考えてよいでしょう。
さらに、特許が切れた段階から作られるものですので、それまでの患者の意見が反映されたものを作ることが可能になります。
その為、大きくて飲みにくかった錠剤などを飲みやすくする加工を施して患者に提供することも可能になるのです。
またそれまではカプセルだったものが、OD錠(水なしで飲める)に変更することも可能で、患者にとって安心で安全なものが提供されるようになります。
今までの教訓が生かされた薬として、新しく作り変えられています。
処方してもらうには
処方してもらうには、まず服用している物が対象になっているのかどうかを確認し、医師や薬剤師に相談するところから始めましょう。
何となく言いにくいイメージがあるかもしれませんが、今では当たり前のシステムですので、希望がある場合はしっかりと伝えましょう。
もし言い出しにくい方は、「お願いカード」と呼ばれるものがありますので利用してみましょう。
このお願いカードは、自治体や健康保険組合から配布されているもので、提示することで意思表示することができます。
また、「お願いシール」と呼ばれるものもありますので、診察カードやおくすり手帳などに貼っておくことをおすすめします。
ジェネリックをおすすめされるかの理由
なぜ、ジェネリックをおすすめされるかの理由としては、国自体が勧めていることが背景にあります。
健康保険を使用することによって、国自体が一部を負担する形になっているのです。
その為、患者自体の費用が抑えられるだけではなく、国自体の費用も抑えられるという現状がある為なのです。
しかし、国がいくらそれを願っていても、薬局自体が協力してくれないと意味がありません。
最初は努力義務として、各調剤がどうするかを決めることができました。
多めに基本料を請求できるというシステムだったので、取り入れる調剤が多かったのですが、2年に1回の診療報酬改定が行われる度にルールが変わり、厳しくなっていきました。
現段階では、ジェネリックを勧めないと経営が難しくなるとまで言われています。
調剤にとって「努力義務」ではなく、「義務」になってきている現状があります。
国が負担する医療費の削減に繋がっていくことから、調剤は取り入れざるを得ないという現状があります。
年々ジェネリック医薬品の対象となるものは増えていっています
国にとって、多くの場所でジェネリックを使用してもらえると、負担が減ります。
患者にとっても、負担する費用が抑えられるので、とても良いシステムですが、まだすべての薬に対してジェネリックが作られているわけではありません。
年々対象となるものは増えていっていますが、まだ作られていないものも多いので、処方してもらえる段階で問い合わせてみることが必要です。
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